GLOBAL EDGEのPower Of Words 私の好きな言葉というコーナーにおいて、zoomにて取材を受けた。
勤め先でのzoomは一度経験がある。
しかし、プライベートではない。
zoom飲み会など巷ではメジャーらしいが、飲み会する友達もおらん。
勤め先でのzoomはおぜん立てがある。私がすべきことはパソコンの前にじっと座っていること。じっと座っていることさえできれば成功だ。
「待て」ができる犬であれば別に私でなくてもよさそうなものなのだが「職務」という、つまらないただ一点で、犬を座らせておくことは許可が下りなかったために、曲がりなりにも人の格好をしている私がしょんぼりと座ることになっただけなのだ。
ところが今回は、自分がすべてやらねばならぬ。おぜん立てはない。こちらの作業ひとつで、画像(虎になるとか)や音声(ヘリウムを吸った声になるとか)が変わってしまうかもしれない。そしてうちに犬はいない。
とはいえ、執筆活動に関連することなら、zoomは大好きだ(と、いきなり手のひら返し)。上手につながるかどうかワクワクしていたが、変身することもなくヘリウム声になることもなく、私の発言を除けばうまくいった。
GLOBAL EDGEというのは、御ホームページによると、
マスコミ・有識者・官公庁・地方公共団体・発電所立地地域等の関係者の皆様とJ-POWERとを結ぶ広報誌として年4回(季刊)発行
とのこと。
拙著「ふたりのえびす」(1/27刊行 フレーベル館)の担当編集さんからのご紹介だ。
私が念仏のように日々唱えているパワーワードは祖母からの「大丈夫」である。
が、これともうひとつ、「ま、いっか」がある。
「大丈夫」のほうは東奥日報新聞社さんの取材で答えたので、今回は「ま、いっか」をお伝えすることにした。
おいまじかよ、という出来事が起こったときとか、起こしてしまったときとか、しでかしてしまった時とかやらかしてしまった時とか……列挙していて悲しくなってきたので、今まさに、まいっかと言う。
私は、やらかすことが多い。能力もないのに手を出すのだ。手を出す時は何も考えていない。鳥の脳みそくらいでもあれば防げたであろうことを、まんまとしでかす。
ああ~、やっちゃったなあと思う。
とりあえず、まいっかと言ってみる。
聞かされたほうはなぜか不安げな表情をする。当然だ。私だって私以外がやらかして「まいっか」なんて言われたらこの野郎と思うかもしれない。
私だって人の子だ。かつては風の子と言われたこともあったが、一応これでも人の子だ。
反省はする。
あまりに深く反省するためそこから抜け出せない。
反省ならば猿でもできるそうだが、私は鳥なので(なんかかっこいいな。でもこれは脳みそ量の話)その反省も的を射ていない場合が多い。
そういう時に、まずは「ま、いっか」と言う。口に出して言う。自分の耳で「ま、いっか」という言葉を聞く。
そうすると、この失敗を取り返せないだろうか、という方向に考えが動き出す。
生産性のない反省ばかりの堂々巡りから、一歩抜け出せる。
うずくまっていた気持ちが動き始める。
次があるさ。
次は失敗しなきゃいいだけじゃん。
やらかしたことに、相手がいる場合も、次は気をつける。失敗しないよう気を引き締め、失言もしないよう口には注意する。
とはいえ、相手が受けた嫌な思いは取り消しようがない。これがきっかけで相手とは疎遠になるかもしれない。そして大抵、疎遠になる。
そうなったらどうするか。
まいっか、と諦める。
相手には大変申し訳ないが、ひとつ学ばせていただいたということで自分のなかだけで勝手に折り合いをつける。
懲りずに私の相手をしてくれている方(ボランティアだと思うが)や、これから出会う新しい方に同じ失敗を繰り返さないよう気をつけよう、と誓う。
誓っても三日もしないうちに同じことを繰り返してしまう、なにしろ鳥の脳みそほどもない脳みそなのだから。
だから正確には「まいっか」じゃない。
ひとっつもよくはない。
でも。
「命まで取られるわけでもあるめえに」
これは、戦争体験者の祖母の言葉。
だから、大抵のことは「まいっか」なのだ。
「ま、いっか」は、
私にとって、進むためのまじないだ。