青森県にて小説と児童文学を書いています。  著作物は、右サイドバーの著作物一覧からご確認いただけます。よろしくお願いいたします。

船上の容疑者

 

f:id:takamorimiyuki:20200903082427p:plain


夢みが悪く、最悪の目覚めであった。

 

他人の夢の話程つまらぬものはないし、矛盾が多くつじつまが合わないので、ここから先はほんと、別にお読みにならなくていいのだが、それでも読んでやってもいいという寛大で変態な方はよろしくお願いします。

 

 

私は客船に乗っている。

私がどういう立場なのか分からない。なんで乗っているのか知らない。

 

今目の前には、企業の頭取と、その企業の従業員の女性がいて、彼らはイチャイチャしている。

頭取は太って脂ぎって、頭の薄い50代くらい。従業員の女性は若くて華奢な美しい女性である。

頭取の奥さんも乗船している。菊池桃子に似ている。私の脳が、もう十年以上も認知していなかった菊池桃子を登場させてきた意図は不明。

奥さんは妊娠三か月。

頭取と女性の関係に気づいている。

私は頭取には、何かの借りがある。

 

奥さんが、デッキにやってきた。頭取と従業員の女性は気づかずにイチャコラしている。

私は、あ~あ、見つかっちゃったと思う。

奥さんはチラッと私を見た。それからすぐに姿を消した。

 

それから場面が飛んで、日没。

奥さんがいない、ということで騒ぎになっている。

海に落とされた可能性も出てきたらしい、と客たちが話している。

 

近くに寄港し、すぐに警察の取り調べが始まった。

犯人は誰だということである。

今日一日の出来事を順を追って言わされる。

奥さんがいなくなった時刻の特定はされていないようで、私の供述に矛盾があればそこをつくつもりらしい。

何度も同じことを言わされる。警察の趣味である。

 

厳しくしつこい取り調べに、無実の私はうんざりしている。疲弊もしている。いくら待っても載って かつ丼は出てこないし。

 

そこで私は「奥さんが海から落とされた夕ぐれ時、私は客室で寝ていました」と言ってしまった。だからとっととかつ丼を出せ、と言いたいわけである。

警察は目を剥いた。

なぜそんなことが分かるのか、と。

落としたのは誰だと問い詰められた。落としたのは頭取だ。

が、借りがあるので言えない。

口を噤んだ私は、一気に容疑者となる。

 

どんなに詰問されようとも

奥さんは夕ぐれ時、頭取によって海から落とされたことをなぜ知っているのか、

私は口に出せない。

 

なぜなら、その死んだ奥さんが、ずぶ濡れで私の横に立ってそう言ってるからである。

 

 

 

 

こういった本やドラマや動画はもう何年も見ていない。

昨夜、寝る前に読んでいたのは、鹿を解体する方法の本で、見ていた動画は認知症のおばあちゃんが楽しく草むしりするものである。

不倫も、海も、頭取も、殺人事件も、菊池桃子も出てこないのであった。

 

ここまでお読みくださった方、しんぼう強さに感謝と敬意を表します。そして、私のつまらぬ話にお付き合いくださったことで人間性が確実に向上したことをここに表彰します。

おつかれさまでした。