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春の電話 (・ω・d)~~~~~(b・ω・)モシモーシ

 

図書館にかかってくる 季節の変わり目に恒例となっていた変な電話。

 

今年は自粛か。

待てど暮らせどかかってこない。

 

以前は「24時間耐久レース」か、

「フルマラソン疾走後の犬か」

というほどの息の荒さを聞き流した後に、タイミングを計って

「おつかれさまでーす」と

答えて切っていた。

 

その手の電話であるというのは、受話器を耳に当てた瞬間に分かる。

 

のっぺりとした無音なのだ。

 

他の電話じゃあり得ない。

まずはこっちが「三戸町立図書館です」と名乗ったらすぐに「(株)〇〇ですが」や「そちらに〇〇という本はありますか?」といったリアクションが来るのだが、

当該電話は、うんっともすんっともない。後ろの物音すらない。

だから、すぐに「さあ、今年もこの季節がやってまいりました!」と察する。

それからおもむろに、荒い息や、何らかのコメントをいただく。

毎年違う人のような気がする。年齢、口調が違うから。

顔も年齢も分からない、たまたま出た電話の向こうの女のパンツの色や形状を知って何が面白いのか、謎は深まる。

こういう電話をかけてくる人はどういう性格の人なんだろう、家族は? お子さんとかいるのだろうか、どういう生活をしてるんだろう、朝食は何を食べたんだろう、日中は何をしてるんだろう…。

切った後、いつも気になって仕方ない。

 

私は学生の頃、家にかかってきた物売りの電話で、年寄りと間違えられて、

「お嫁さんは御在宅でしょうか」

と聞かれたことがある。

その時は「嫁は川さ、息子ぁ山さ行きあんしたぇ」と答えたのを覚えている。

嫁が川に行って何をするのかまでは聞くことなく、お姉さんは切った。

聞かれたら、桃を拾いに、と言ってやろうと思っていた。

 

女子学生を老婆と間違えたあのお姉さんが、その後、売り上げを伸ばすことができたのか、

20年以上たった今でも時々気にかけている。

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夜中、鳴きつかれた猫様 右の自転車、フラッシュを反射して、何か「行くぜ」的な空気がにじむ春の朝