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髙森さんとこの工作②

 

前回の続きです。

 

暇なのか? と訊ねるかたもございましょうが、

 

暇です。

 

 

テグスをとおす穴を開けます。

 

キリを両手で挟んで念仏を唱えるように、というか、ハエのようにこすり合わせるのです。

ハエの気持ちがよくわかりました。

味を知ろうとしていると理科の授業で習いましたが、

自分がよくよく手をこすり合わせてみれば、

ハエは、悔恨の念に苛まれている! のである。そして懺悔しながら、懺悔できることに感謝しているのである。

なんということか、ハエ。

うるさい(五月蠅い)、という言葉にあてがわれているが、ハエは悔恨の念をもって懺悔しながらかつ感謝しているのである。このような高等な真似を、哺乳類ヒト科ができようか。

普段暮らしていて、ハエの気持ちを理解することは稀であろう、ありがとうハエ。

 

というような愚にもつかぬ思念の穴に落ちてしまいかけるのが、キリで穴を開ける作業の醍醐味である。

 

しっかしこれ、どれだけ擦り合わせても穴なんか開きぁしねえ。

開く気配がねえ。

どやすべ、一生手をすり合わせてなきゃいけねべか。

いい加減、手のひらのしわが消えるんでねかべか。

ひたすら擦り合わせる。

念仏でも唱えるべか。

あ、ひょっとして美顔ローラーってこの原理を応用したものじゃないのかしら(雑念)。うそまじで? 特許庁に申請しなくちゃ。それにしてもあの肉たたきのような重さのあるチタンのローラー、アレ、捨てなくてもよかった、2本。

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開きました。

この穴から輝かしい未来が見えます。

コロナは収束し、世界は平和になり、私はこの音色の特許を取り、人々から称えられ、莫大な使用料で左うちわの生活をするのですめでたしめでたし。

 

穴の下がわずかに削れているのがお分かりいただけるだろうか。

穴を開ける際、キリが滑ってしまわないように平らにしたのである。というか、さも偉そうに

「前からこの方法は知ってましたが何か?」

的に講釈垂れてるが、一回指に刺したせいで編み出しただけだ。

何事も痛みを知らないと覚えないたちなのよ。


ここまでで実にのべ40分かかりました(竹の採取を除く)。

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3本できたわけだけど、本数が少ないのでまた採ってきたいと思う。

完成まで、まだまだのようだ。