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彼岸

 

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久しぶりに墓参りに行った。

7時半。まだまだ早い。

お墓には誰もいなかった。ひとっこひとりいない。一等賞だ。何かご褒美がもらえるかもしれない。

水を入れる桶を手に記憶にある水くみ場へ浮かうと埋め立てられていて、ボイラーとかクーラーの室外機みたいなものがあった。

水くみ場がない。

さまよった挙句、見つけたのは、小屋の、網戸の中の水道。

除雪機とか農機具っぽいのが置いてある。

水を汲んで、出ると、参拝者たちの姿がちらほらあった。

彼らは、別なほうから水の入った桶を手に墓場へ入っていく。

ちょっと待ってどっから汲んできた。

視線をずらすと、埋め立てられたと思っていたそこに、ちっちゃい水道があるではないか。

 

ということは。

 

私は小屋を振り返る。

 

 

もしかしたら私は、住職んちに勝手に入って汲んできたのかもしれない。

朝っぱらからひとつ、はた迷惑なことをしでかした模様。

 

 

ご褒美もらえる?